性感染症の一種である膣トリコモナス感染症。性感染症なんて不特定多数の人と体の関係を持つような遊び人がかかるもので自分には関係ない、と思っていませんか?

膣トリコモナス感染症は他の性感染症と比べ感染する患者の年代が幅広いので、誰でも患ってしまう恐れのある病気です。悪化すると不妊症や早産を招く危険があるので、もしも膣トリコモナス感染症に感染したらきちんと治療しましょう。

なぜ膣トリコモナス感染症に感染するの?

膣トリコモナス感染症はトリコモナス原虫という寄生虫が膣や尿道、膀胱などに感染する病気です。

膣トリコモナス感染症に感染する原因はコンドームを使用しない性行為によるものが大半ですが、プールや温泉施設、トイレ、タオルの共有などもあげられます。水の中でもトリコモナス原虫が長時間感染力を失わないためです。小さな子供や性行為の経験がない人がトリコモナスに感染したときは、このように水から感染した可能性が考えられます。

こんな症状が出ているとトリコモナス膣炎かも

このような症状がみられる人はトリコモナス膣炎を患っているかもしれません。

  • 泡状で黄緑色の生臭いおりものが出ている
  • 外陰部がただれてかゆい
  • 膣から出血がある
  • 性行時や排尿時に痛みを感じる

トリコモナスの潜伏期間は人によってまちまちで、3日くらいで症状が出る人もいれば、半年近くまったく症状の出ない人もいます。自然治癒することがほとんどない膣トリコモナス感染症は、感染したら通院して治療しなければなりません。治療は産婦人科で受けられます。

泡状のおりものが臭い

膣トリコモナス感染症の分かりやすい症状のひとつに「悪臭の泡状のおりもの」があります。膣内を正常に保つためのデーデルライン乳酸菌をトリコモナス原虫が減少させてしまういます。

それにより、正常では雑菌の侵入を防ぐ役目のデーデルライン乳酸菌が弱まり、膣内に雑菌が侵入しやすくなることで、悪臭を発生させてしまう原因になります。

膣トリコモナス感染症は飲み薬と膣錠で治療します

膣トリコモナス感染症を治療するには、体内に潜むトリコモナス原虫を死滅させる必要があるので、抗トリコモナス剤である飲み薬「フラジール内服薬」を約1週間〜2週間、合わせて膣錠を約1週間服用します。

薬を飲み始めるとすぐに症状は治まりますが、体内にはまだトリコモナス原虫が残っているかもしれないので、お医者さんの指示があるまでは薬の服用を続けてください。相手に移す恐れがあるため、トリコモナスの治療が終わるまでは性行為は禁止です。

フラジール内服薬は、アルコールと相性が悪い薬です。服用中は副作用でお酒がまわりやすくなるので、お酒が強い人でも頭痛や腹痛、吐き気などの症状が出やすくなります。

お酒が好きな人はつらいでしょうが、薬を服用している間と服用が終わってからの3日間お酒は控えましょう。

膣トリコモナス感染症の治療はパートナーと一緒に

せっかく完治したトリコモナス膣炎、繰り返さないためにはパートナーと一緒に治療する必要があります。

たとえば、女性側がトリコモナスに感染しそれに気がつかないまま性行為に及び、相手の男性もトリコモナスに感染したとします。その後、女性はトリコモナス膣炎を発症し、病院で治療を受けて完治しました。しかしパートナーの男性はトリコモナスを保持したままなので、性行為をおこなうと、相手の女性に再びトリコモナスを移してしまいます。
このようにトリコモナスは、お互いが感染源になって病気を移しあうピンポン感染が起きるケースが非常に多いため、二人で完治を目指さなければなりません。

トリコモナスに感染すると男性は、尿道から膿が出る、排尿時に痛みを感じるなどの症状が出ますが、女性よりも軽度に済みます。そのためトリコモナスの治療に積極的ではない男性が多いです。男性のトリコモナス検査は泌尿器科でできるので、パートナーが発症していたら男性も必ず病院で診てもらいましょう。

トリコモナス検査で男性だけが陰性だった場合

カップルでトリコモナスの検査を受けて、男性だけが陰性になるケースは珍しくありません。男性の場合、女性よりもトリコモナス原虫を検査で発見するのが難しいからです。病院で検査を受けて陰性が出た人でも、パートナーがトリコモナス膣炎を繰り返しているのであれば、そのことを病院で伝えてもう一度検査を受けることをおすすめします。

妊娠中に膣トリコモナス感染症が見つかったら

妊娠中に膣トリコモナス感染症に感染したままだと流産や早産の危険があります。

妊娠後は体の変化が著しく、たとえトリコモナス膣炎の症状が出ていても、妊娠がきっかけの体の変化だと勘違いしてしまうことが多いです。おりものが泡立って生臭い、デリケートゾーンが痒い、といったような症状が出ている場合は、トリコモナスに感染している可能性があります。妊娠中は胎児への影響を考慮して膣錠のみで治療できるので、症状に心当たりのある人は主治医に相談してみてください。

また、妊娠中は病原菌に対する抵抗力が低下しているので、トリコモナスに感染しやすくなっています。妊娠が発覚したら、プールや温泉施設のようなトリコモナスに感染するリスクがある施設の利用は控えましょう。

膣トリコモナス感染症は悪化すると不妊症を誘発するかも

膣トリコモナス感染症をほうっておくと不妊症をまねくおそれがありますが、きちんと治療すれば心配いりません。

放置していたトリコモナスは感染部位が拡大し、まれに卵巣や卵管にまで至る場合があります。そのまま治療しないでいると、卵管や卵巣が炎症を起こして卵子を作れなくなったり、卵子が子宮まで正常に運ばれなくなったりする可能性があります。もしもいつか子供を授かりたいと考えているなら、トリコモナスくらい大丈夫と甘く考えてはいけません。